大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

水戸地方裁判所 昭和23年(行)2号 判決

原告

中山忠〓

被告

主文

茨城県知事友末洋治が別紙目録記載の物件につき昭和二十二年七月二日附買收令書の交付によつてなした未墾地等の買收は無効であることを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

請求の趣旨

茨城県知事友末洋治が別紙目録記載の物件につき昭和二十二年七月二日附買收令書の交付によつてなした未墾地等買收は無効であることを確認する。

右主張立たざるときは茨城県知事友末洋治が別紙目録記載の物件につき昭和二十二年七月二日附買收令書によつてなした未墾地の買收価格を金一万六百四十七円に增額する、被告は原告に対し金九千七百六十円六十一銭を支拂うこと、訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、その請求原因として別紙目録記載の物件は原告の所有であつて原告は、自分の家の醤油釀造及び家事用の薪炭林に供する目的で昭和十八、十九の両年に互つて右土地に植林して手入れを加えつつあつたのであるが、政府は茨城県知事によりこれを土地については一段歩六十四円八十銭の割、立木については六千百四十七本を合計二百九十三円六十九銭と定めた買收令書を交付して買收した。

しかしながら本件未墾地等の買收行為には次のような違法がある。

一、安靜村農地委員会が昭和二十二年五月十三日別紙目録記載の土地につき反当二十四円、同地上成育の松立木五千四百五十本を一本七十銭買收時期昭和二十二年七月二日として買收計画を作成しこの旨公告し縱覽に供し、ついで茨城県農地委員会に宛てて申請をして承認を求めたところ同農地委員会は、立木の買收価格が不当だとして改定を命じた上、買收令書記載内容のように変更して承認し、知事はこれに基ずいて買收令書の交付をしたものであるが、買收計画は「何の土地」を「何時」「幾らの価格」で行うかが要素であり、その三つの内の一つが異つても既に別異の計画と謂うことになり、從つてこれを改めた場合には「物件」と「時期」並に「価格」とを明示したあらたな計画を作成し、あらためてこれを公告し縱覽手続をしなければならない。若し、そうしないと前の公告の価格、物件なら異議がなかつたため異議を申立てなかつたものが、その不知の間に何十分の一かに改定された買收価格或は予期外の物件による買收を甘受しなければならないと謂う不当な結果になる、然るに安靜村農地委員会はあらためた部分を含めての計画については法定の手続を再びしていないから本件買收行為は前提において適法な行政行為たるに必要な効力要件を欠いたことになり、結局無効である。

二、のみならず日本国憲法第二十九條によるならば、政府が私有財産を買收、使用するにはそれが「公共の福祉にあう」ことと「正当な補償」の下でなければならないのであり、正当な補償であるためには被收用者が該買收によつて受けた経済的価値の損失の金額即ち買收物件の社会的客観的の評価価格の全部を補償することが必要であつて、本件物件のように買收当時その使用收益、処分の方法及び価格について何の制限もなかつたものにはその通常の方法による売買価格即ち市場価格による補償でなければならない。しかるに自作農創設特別措置法施行令第二十五條は農地以外の土地の対価を「当該土地の近傍類似の農地の時価に中央農地委員会の定める率を乘じて得た額と当該竹木の価格の合計額を超えてはならない」とし又この條規に基ずいて中央農地委員会はその前者を近傍類似の農地の法定価格の四十五%以下とする率、後者は苗木代、植付手間代の各法定価格と土地の公租公課の合計額え日本銀行所定の年四分以下の利子を加えた額以下とする基準を定め、両者相まつて本法による山林及び立木の買收価格即ち補償額を制限した、しかし農地については臨時農地等管理令、価格等統制令、小作料統制令、その他によつて前から使用、收益、処分の方法と額が制限されているから、この法定価格が「正当な補償」額と見てよいかもしれないが、斯かる統制が全くない、しかも本法でも原則として買收の目標外であり、国の政策としても保護奬勵を受けて尚且つ適法な收益をあげつつある山林、立木の場合には該買收によつて受けた経済的損失を全部補償するのが正当な補償であつて、これに副はない右施行令第二十五條、これに準拠する前示中央農地委員会の率及び基準の各決定行為は孰れも憲法の正当価格で補償するとの保障を妨げるものであつて結局この法文は憲法に違反する無効のものであるからこの無効の法令を適用して前項記載の正当な価格の数十分の一に定めた安靜村農地委員会の買收計画同樣措置に出た知事の買收行為亦無効である。

三、仮りに右法文が日本国憲法に違反するものでないとするならば、中央農地委員会の決定した未墾地等の対価算定基準は自作農創設特別措置法を日本国憲法の精神に則つて解釈運用しなければならない、從つて終戰後における物価の騰貴、官公吏の給與の上昇、殊に林産物である素材並に薪炭の価格の大巾の値上などを考え更に昭和二十一年法律第五十二号財産税法による国民に対する財産税の課税方法を斟酌して買收価格を算出するときは別紙目録記載の物件の買收価格は三千七百八十一円八十銭となるのに拘わらず安靜村農地委員会の買收計画の買收対価が右価格に達しなかつたのは自作農創設特別措置法を憲法の精神に則つて解釈運用していなかつたからであつて、この点においても本件買收計画は無効であり、これに基ずいて為された知事の買收行為亦無効である。

仍つて茲に被告国に対し本件未墾地買收が無効であることの確認を求め、以上の主張が孰れも理由ないならば本件買收計画は異常に低い価格を以てなされたものであるから、昭和二十二年七月頃における適法妥当なる土地の反当取引価格五百円、同じく立木の一本の取引価格最低一円を以て計算した価格合計一萬六百四十七円に右買收価格を変更し、これと買收令書記載の価格との差額九千七百六十円六十一銭の支拂を予備的に請求するものであると陳べた。

(立証省略)

被告訴訟代理人は本案前の抗弁として本件訴訟は国を被告として無効確認を求めているものの、その実、行政行為に瑕疵ありとして国に対して行政行為の取消を求めるものであるから、法の定める異議、訴願の方法によつて行政処分の取消の手続を先ず為すべきであつてその方法以外の方法によつてこれが取消を求めることはできない、のみならず原告は買收令書を発布した茨城県知事を被告としないで国を被告としてこれが取消を求めているがこれ亦違法であり、結局原告の国を被告とする無効確認の訴は却下されなければならないと述べ、ついで本案につき原告の請求は孰れもこれを棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として原告主張事実中原告主張のように安靜村農地委員会が原告所有の土地、同地上成育の立木について、自作農創設特別措置法の規定に基ずいて未墾地買收計画を作成し、これを公告縱覽に供したこと、右公告縱覽に供した買收計画の立木の本数が五千四百五十本であつたこと、本件買收令書に於てその土地の対価が反当六十四円八十銭の割、松立木の本数が六千百四十七本でこの対価が合計金二百九十三円六十九銭と決定されたこと、茨城県知事が右原告宛に買收令書の交付をしたことはこれを認めるが、その余はこれを爭う。元來買收計画は嚴密な数学的正確さを要求しているものでないから、公告縱覽をするに当つては当該買收計画の同一性を害しない限り、後に至つてその内容が訂正されることがあつても、これを以て適法な公告があり、適法な縱覽があつたものとして一向差支えないので、訂正された價格については自作農創設特別措置法によつて不服の訴もできるのである。

又原告は憲法の正当な補償と謂う言葉を被收用者が該買收によつて受けた経済的價値の損失の全部即ち買收物件の社会的、客観的評価額の全部であると主張しているが、自作農創設特別措置法における買收は土地そのものを收用目的とする土地收用法耕地整理法、土地区画整理に関する土地買收の場合とは根本的に観念を異にする即ち現代における所有権に関する指導的な考え方はフランスの人権宣言当時の考え方を完全に止揚して所有権は社会制度の維持に必要なるが故に保護すると謂うことに変りつつある。

又自作農創設特別措置法によつて土地所有の変動が茲に企図されたのは「ポツダム」宣言受諾に伴い我が国社会を民主的につくり出すための一方策であつて此の線に副つて憲法は政治の上にも社会生活の上にも民主主義を実現しようとしているのである。

しかして或法律の規定が憲法の條規に反するか否かと謂うことは当該法律の一、二の條文を拉し來つて考えるものではなく、むしろこれを離れて個々の條文にとらわれることなく、その法律を貫く根本の理念と理想並に当該法律の制定された客観的な社会情勢とを勘案して綜合的に決せらるべきものである、したがつて自作農創設特別措置法の或る條文が憲法に背反するや否やを考えるに当つては新憲法と農地改革に関する一連の法規との夫々を貫く理想と尚夫々の制定された社会情勢とを十分に考慮のうちに入れて論断しなければならない、しかして新憲法の目的とする理想は我が国の政治、経済、文化等あらゆる部門を徹底的に民主化することにあり、現在行はれつつある農地改革も亦我が国経済界の民主化のための施策である。

したがつて国がその大理想の実現のために、個人の土地を買收する場合、これに対価として支拂うべき金額についても、徒らに天賦人権的所有権思想を以て考慮すべきではなく、所有権が社会制度として認められる必要の範囲内において支拂わるべきである、したがつて農地に関する限り、從來あるがままの土地所有権の社会的分配を前提にして日本国憲法第二十九條を考察することは誤りである、しかして一方自作農創設特別措置法は農地を買收する場合、この対価を土地所有者である地主の採算価格を想定算出して、田はその賃貸価格の四十倍、畑は四十八倍となし、これを農地の売買の統制価格としているのであつてこの計算の由來は公知の事実とされ、何等日本国憲法に牴触するものでない、他面山林、原野等農地以外の土地が開拓適地として国に買收されるときには、これを開発して農地として用いられるものであるから、農地の買收の対價の範囲内で当該土地の買收の対価が定められるべきであり、しかも農地は現在農地調整法で自由売買を一応禁止されているから、農地以外の土地で開発の用に供される山林、原野の買收の対価は当然に右に述べた統制された農地の統制価格の範囲内で定められなければならないのである、しかして自作農創設特別措置法によれば、未墾地を買收する場合の対価は当該土地について通常造成される畑地を想定し、しかもその近傍類似の農地の賃貸価格が著しく低い場合には、その農地に応じた特別価格を考え、その価格に対して四十五%の率を乘じて得た価格の範囲内で決定することになつている、又竹木についても一定の計算方式を策立してこれに基いて算出されているが、これは前説示により導き出される結論で至当の措置である。

しかして、安靜村農地委員会が本件二筆の土地の買收計画の作成に当つては、近傍類似の土地として、訴外高木規矩夫所有の結城郡安靜村大字落田字三島下二百四番の畑四反八畝をとり、反当賃貸価格を三円として、これに四十八倍して中央農地委員会の定めた四十五%を乘じ、かくして得た土地の買收価格六百九十二円七十銭と、立木については、松立木六千百七十本、植栽年度昭和十九年、苗木代一本三銭、植付費五十七円、第一年、第二年共公租七十六銭、第三年二円十七銭、第四年六円九十銭として、これを日本銀行法第二十一條に基く物価係数を植栽年度に逆算して、乘じて得た二百九十三円六十九銭を以て対価としたのである、仮りに買收価格が財産税の評価格より著しく低いと謂う場合には、昭和二十二年開拓局長通牒第五一四号により、買收対価迄課税額を更正する途もあるから、本件の買收は孰れの点からするも正当で、原告の請求は失当であると陳べた。

(立証省略)

理由

先ず本案前の抗弁につき考える。

原告は国を被告として、別紙目録記載の山林、立木の所有権が茨城県知事友末洋治によりなされた買收令書の交付行為によつて国に帰属したが、実はそれは買收令書の交付以前の行政行為が既に有効要件を欠いているから、これに基いた国の知事によりなされた買收が無効であるとして、これが確認を求めるのであつて、單なる瑕疵を理由としてこれが取消を求めるのでないから、原告の本訴の提起手続は正当であつて、被告の抗弁は採用し難い。ついで本案につき審究する。

原告主張の原告所有の土地、同地上成育の立木について、安靜村農地委員会が昭和二十二年七月二日に買收する旨の未墾地買收計画を作成し、これを公告、縱覽に供したこと、及び茨城県知事より原告宛未墾地買收に関する令書の交付のあつたことは当事者間に爭いない原告は茨城県農地委員会は安靜村農地委員会が作成した未墾地買收計画の改定を命じた上、これを承認して、これに基ずく知事発行の買收令書を原告が受けとつたが茨城県農地委員会は改定した部分を含めての買收計画を改めて公告縱覽するの法定手続を何等しない儘、これを承認してしまい、茨城県知事亦これに基ずいて買收令書を交付したから、被告国の本件未墾地買收は無効であると主張し、被告は買收計画は數学的完全性を要求するものでないから、同一性を変えない限り、買收計画を変更しても何等支障を來すものでないから、本件の場合にも、適法の公告、適法の縱覽があつたものとして、一向差支えないと主張して爭うにつき、按ずるに、政府が農地若くは未墾地等を買收するには市町村農地委員会若くは県農地委員会の定める買收計画によらねばならないことは自作農創設特別措置法の定めるところであつて、爾後の買收に至る迄の手続は総てこれに基ずいて進められる、したがつて同法の買收計画には特に買收すべき土地と、買收すべき時期及び買收の対価を記載事項として明記することを要求している。しかして市町村農地委員会若くは農地委員会が右計画を作成したときは、これを公告縱覽に供した上、地主をして異議の申立或は訴願の申立の夫々の途を講じさせた後、都道府県農地委員会若くは県知事がこれを承認認可して、初めて右買收計画が確定するに至り、然る後地方長官がこの買收計画に基ずいて、農地等の所有者に対し買收令書を交付する、斯くして買收の効力はその買收令書記載の買收の時期に発生し、政府がこれを原始的に取得する、しかして右になされた承認の法律上の性質は他の当事者においてなされて成立した法律行為の効力を完成させるための同意であつて、これは補充的意思表示に過ぎなく、承認される法律行為の内容は專ら当事者の行為によつて既に定まり、ただ当事者の行為のみによつて、その行為の効力を完全に有効にすることは公益上不適当であるとの見地からして、承認の権を他の行政庁に保留し、その承認を受けなければ、法律行為が完全に効力を発生することはないとしているのである、したがつて承認する以前に既に法律行為は成立し、ただその効力が他日承認を受ける條件のもとに発生する、此の場合承認するものはこれに同意を与えるか否かを決する以外に方法なく、修正して同意することは法に明定ある場合の外はできない、しかして国が自作農創設特別措置法に基ずいて農地若くは未墾地等を買收するには個人の権利利益を保護する立場上、買收計画、公告、縱覽等の法定手続を経ることが絶対に必要である、即ちこの法定手続の履践は自作農創設特別措置法における買收と謂う行政行為の正当なる結果を得るためには欠くことのできない有効要件である。

以上法の明定する買收計画、公告縱覽、承認の手続及び右買收計画に記載すべき事項は個人の権利、利益の保護からして絶対に欠くことのできない有効要件である、したがつて買收計画における記載すべき事項の一つの改定、変更は買收計画自体の有効要件の改定、変更となるから、別異の計画として爾後の手続を履践することが必要であつて、言いかえれば、法の定める右の有効要件は行政組織上の内部の監督や、行政上の秩序のためよりして行政庁に対してなされる單なる命令的の定めではなく、実はこれは法律効果発生のための能力的の規定であると解すべくしたがつてこの有効要件の改定、変更があつた場合には爾後の行為は基ずく根拠を失つて絶対に効力を生ずることがないのである。

然るに安靜村農委地員会により作成された別紙目録記載の土地並びにその地上成育の立木の買收計画は最初土地の対価につき反当金二十四圓、松立木の対價が全部で金千三百三十圓として決定されて公告縱覽に供されたことが証人小田部利三郞の証言によつて推認できる、この認定に反する証人靑木淸作、國府田平左衞門の各証言の一部は措信しない。一方成立に爭いない甲第一号証に証人國府田平左衞門の証言並に口頭弁論の全趣旨を綜合すると右買收計画につき承認の申請を受けた茨城県農地委員会は反当金六十四円八十銭、松立木六千百四十七本を金二百九十三円六十九銭の買收価格として承認し、茨城県知事これに基ずいて買收令書を交付したことが明かであり、この改定のあつた部分を含めての買收計画については、これを公告縱覽にも供していないことは証人國府田平左衞門、小田部利三郞の証言によつて窺はれる、この認定を覆えすに足る証拠はほかにない。

しかして、ここに謂う安靜村農地委員会のなした未墾地買收計画は自作農創設特別措置法第三十條、第三十八條に基ずいてなされたものであつて、茨城県農地委員会は斯かる場合、右計画を承認するときは、これを改定、変更することは法に規定がないから出來ず、結局同農地委員会は承認するか否かを決するほかなく又買收計画中の記載事項である立木の本数並びに買收対価の変更があれば、それは有効要件の変更であるから、改めて別異の計画としての手続を履践しなければならない、しかるに茨城県農地委員会の承認は最初安靜村農地委員会によりなされて、公告、縱覽された買收計画についての承認ではなく、実はこれとは内容の変つたものについて、承認されたのであり、この場合前述のようにその変更した部分を含めて改めて買收計画公告、縱覽等法定の手続が更になされなければならないのに拘わらず、何等行われないでしまつたのであつて、結局原告は法律の保障する権利の保護を受けないで自己の財産を国によつて原始的に取得されたと謂うことになる。

斯くの如きは国として個人の権利、利益の擁護に万全な措置を講じたと謂い得ず、寧ろ個人の権利、利益を法によらずに侵したと謂うほかない、国としては自作農創設特別措置法によつて農地等所有権が解放適格なることが明白であればある程、一層個人の権利、利益を保護する法律上の手段、方法に意を用い、国民をして納得のゆくよう信賴するに足りる行為をなすべきであり、特に法規の要求する有効要件は飽く迄遵守しなければならない。

然るに茨城県農地委員会は買收計画の変更があつたのに拘わらず、法定の手続を履践しない儘承認したのであつて、この点あきらかに承認をするについての有効要件を欠いたと謂うほかなく、被告は原告は自作農創設特別措置法第十四條によつて対価の額につき、訴を提起すれば原告の保護に十分であると主張するが自作農創設特別措置法第六條の買收計画、公告要件の規定並びに行政事件訴訟特例法第二條の訴願前置主義の規定を照合すれば前記自作農創設特別措置法第十四條の規定存することが何等被買收者の訴願権を奪つたものであると謂う結論を生ずる限りとはならない、從つて原告の右主張は本件のように買收計画自体の効力が生ずる余地のない場合には全くこれを採用することができない、したがつて茨城県農地委員会のなした承認は無効に帰すべく、したがつてこれに基ずいて茨城県知事の原告宛買收令書の交付による被告国の買收亦無効であるから爾余の判断はこれを省略し、原告が被告国に対して茨城県知事友末洋治が別紙目録物件につき昭和二十二年七月二日附買收令書によつて為した未墾地等の買收は無効であることを確認するとの請求はこれを正当して認容し訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九條を適用し主文の通り判決する。

(目録省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例